貸付けの契約には「個人向け貸付け」「個人向け保証」「法人向け貸付け」「法人向け保証」の4種類があり、その中で、総量規制の対象となるのは、「個人向け貸付け」のみであって、法人向けの貸付けと保証、また個人向けであっても個人向け保証については総量規制の対象になりません。
総量規制の対象となる「個人向け貸付け」とは、個人がお金を借り入れる行為のことをいいます。
ただし、個人が事業用資金として借入れる場合は、原則として総量規制の対象にはなりません。
個人顧客から、新たな貸付けの申し込みを受けた場合、貸金業者は指定信用情報機関が保有する個人信用情報を使用し、他の貸金業者からの借入残高を調査をします。
なお、貸金業者は利用者とリボルビング契約を締結した場合、1カ月の貸付けの合計額が5万円を超え、かつ貸付残高が10万円を超える場合、毎月指定信用情報機関から情報を得て、残高を調べなければならず、さらに、貸付残高が10万円を超える場合には、3カ月以内に一度、指定信用情報機関から情報を得て、残高を調べなければなりません。
また、貸金業者が、自社の貸付残高が50万円を超える貸付けを行う場合、(与信枠が50万円を超える場合も含む)あるいは他の貸金業者を含めた総貸付額が100万円を超える貸付けを行う場合には、収入を明らかにする書類の提出を求められます。(貸金業者は、この書類を用いて利用者に貸し付けた場合、年収等の3分の1を超えないか確認します。)
除外と例外
総量規制には、「除外」または「例外」となる貸付けがあります。「除外の貸付け」とは、総量規制の対象とならない貸付けです(「不動産購入のための貸付け」「自動車購入時の自動車担保貸付け」 など)。
「例外の貸付け」とは、貸付けの残高としては算入するものの、例外的に年収の3分の1を超えている場合でも、その部分について返済の能力があるかを判断したうえで、貸付けができるものです(「 不動産担保貸付け」「 配偶者と併せた収入の3分の1以下の貸付け」「 個人事業主に対する貸付け」など)。
配偶者貸付け
総量規制は原則として個人ごとに年収の3分の1が基準となっています。そのため、収入のない専業主婦やパートなどで収入の低い主婦は借り入れができなくなりますが、配偶者と年収を合算して、その合算額の3分の1までの貸付を認めるという制度が配偶者貸付けです。
配偶者貸付けにおいては、配偶者の同意書と夫婦関係を証明する書類(住民票など)が必要になります。

例えば、夫の年収が300万円、妻の年収が150万円の場合、妻は夫(配偶者)の年収と併せて、450万円の3分の1、すなわち上限150万円の借入れが可能ですが、夫の同意と住民票など夫婦関係を証明する書類の提出が求められます。
また、この場合、妻が150万円の借り入れをすると、夫は貸金業者からの借入れが制限されます。